結論:VTuber企業として決算を比較できる上場企業は、にじさんじ運営のANYCOLOR(5032)とホロライブ運営のカバー(5253)の2社です。「ぶいすぽっ!」運営のBrave groupは非上場ですが、東証プライム上場のグリーホールディングス(3632)が2026年4月に筆頭株主になっています。3社とも直近決算の見出しの数字と中身にはギャップがあり、「増収」「増益」「増配」といった言葉だけで判断すると実態を見誤ります。3本の決算記事を1つの記事にまとめ、比較します。
これまでカバー(5253)、ANYCOLOR(5032)、グリーホールディングス(3632)の決算をそれぞれ読んできました。この記事はその総まとめです。Webエンジニアとして働きFP3級を持つ筆者の視点で、公開情報を整理するもので、特定の投資判断を勧めるものではありません。
3社の位置づけ
| 会社名(銘柄コード) | ANYCOLOR(5032) | カバー(5253) | グリーホールディングス(3632) |
| 上場市場 | 東証グロース | 東証グロース | 東証プライム |
| VTuberとの関係 | 「にじさんじ」を自社運営 | 「ホロライブ」を自社運営 | 「ぶいすぽっ!」運営元Brave groupの筆頭株主(間接出資、2026年4月〜) |
| 決算期 | 4月期 | 3月期 | 6月期 |
まず押さえておきたいのは、3社は「同じ土俵」にいません。ANYCOLORとカバーはVTuberグループを自社運営する当事者ですが、グリーHDはBrave groupに出資している立場で、しかも決算期も別々です(グリーHDは6月期、Brave group自体は9月期で、これも一致していません)。この違いを踏まえたうえで数字を見る必要があります。
直近決算の数字比較
| 項目 | ANYCOLOR 2026年4月期 | カバー 2026年3月期 | グリーHD 2026年6月期 |
| 売上高 | 556.8億円(+29.9%) | 493.3億円(+13.7%) | 513億円(▲10.1%) |
| 営業利益 | 201.7億円(+23.9%) | 70.6億円(▲11.8%) | 40億円(▲17.2%) |
| 営業利益率 | 約36% | 約14% | 約8% |
| 当期純利益 | 140.9億円(+22.4%) | 30.2億円(▲45.7%) | 41億円(+242.3%) |
| 配当(前期比) | 75円(+10円) | — | 22円(+7.5円) |
営業利益率だけを見ると、ANYCOLORの高収益体質(約36%)が際立ちます。カバーは売上の伸びを海外展開・スタジオ投資に振り向けている段階、グリーHDは全社の中でVTuber関連(Brave group出資)が占める比重自体が小さい会社です。
3社それぞれの「決算の読み方」
見出しの数字と実態にギャップがあるのは3社とも共通していますが、ギャップの中身はそれぞれ違います。
▶ カバー(5253)の決算を読む
▶ ANYCOLOR(5032)の決算を読む
▶ グリーホールディングス(3632)の決算を読む
「運営会社」と「間接出資者」の違い
ANYCOLOR・カバーの株を買うことは、それぞれ「にじさんじ」「ホロライブ」というIPそのものへの投資です。業績の大半がそのIPの人気・グッズ売上・タレントの活躍に連動します。
一方、「ぶいすぽっ!」に投資したかったけど…で書いたとおり、運営元のBrave groupは非上場です。グリーHDの株を買っても、それは「ぶいすぽ株」を買うことにはなりません。グリーHDの業績の大半は自社のゲーム事業・自社のライブエンターテインメント事業(旧メタバース、REALITY発のVTuber関連)が占めており、Brave groupへの出資は規模も比率も限定的です。詳しくはグリーHDの決算記事、非上場株への向き合い方全般はこちらの記事で整理しています。
VTuber企業の決算を見るときの共通の視点
- グッズ依存度:ANYCOLOR・カバーとも、売上の中心は配信ではなくグッズ(コマース)。ファンの熱量・グッズ施策の当たり外れが業績を大きく動かす
- タレント個人への依存:人気VTuberの卒業・活動休止が売上に直接効く
- 期待と実績のギャップ:成長株は「高い成長が続く」前提で値段がついているため、実績が良くても見通しが悪ければ売られる(ANYCOLOR)。逆に実績が悪くても一時要因なら過度に悲観する必要はない(カバー)
- 「見出しの利益」の中身を確認する:営業利益(本業)・経常利益・純利益のどこで数字が伸びているかで評価は変わる(グリーHD)
まとめ
- VTuber企業の決算を比較できる上場企業はANYCOLOR・カバーの2社。グリーHDはBrave group(ぶいすぽ)への間接出資者という別の立場
- 3社とも「見出しの数字」と「中身」にギャップがあり、一過性要因・来期予想・利益の内訳(本業か為替か)を確認しないと決算の善し悪しは判断できない
- 「グリー株を買えばぶいすぽに投資したことになる」は誤解で、実質的なエクスポージャーは限定的
それぞれの決算の詳しい中身は、各記事のリンクからどうぞ。3社とも今後の決算発表時に、この記事を更新していく予定です。
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免責事項
本記事は公開情報をもとにした情報提供・会計知識の解説を目的としたものであり、特定の銘柄の売買や投資行動、優劣の判定を推奨するものではありません。数値は各種報道・決算資料をもとにした概算で、執筆時点のものです。投資に関する最終的な判断は、必ずご自身の責任において行ってください。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
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