投資の世界でよく耳にする「金利」と「債券」。この2つは切っても切れない関係にあります。債券は安定性の高い投資対象とされますが、その価格は金利の変動に大きく左右されます。この記事では、金利と債券の関係を基本から解説し、デュレーションや既発債の投資可能性についてもわかりやすくまとめます。
金利と債券の価格の関係
債券価格と金利は「シーソー」のように逆方向に動くのが特徴です。
- 金利が上がると債券価格は下がる
たとえば利率1%の国債を持っているとき、市場金利が2%に上がれば、新しい国債のほうが有利になります。そのため既存の1%国債は人気がなくなり、価格が下落します。 - 金利が下がると債券価格は上がる
逆に金利が下がれば、高い利率がついた既存債券は魅力が増し、価格が上昇します。
この仕組みを理解しておくと、単に利息を得るだけでなく、価格変動によるキャピタルゲインの可能性も見えてきます。
デュレーションとは?
債券投資では「デュレーション」という指標も重要です。
- 定義:デュレーションとは、債券価格が金利変動にどれだけ敏感に動くかを表す尺度であり、同時に「平均的な資金回収期間」を示します。
- 特徴:
- デュレーションが長い債券ほど、金利変動の影響を大きく受ける
- デュレーションが短い債券は、価格の変動が小さい
例:
- デュレーション5年の債券 → 金利が1%上昇すると価格は約5%下落
- デュレーション2年の債券 → 金利が1%上昇すると価格は約2%下落
👉 金利上昇局面ではデュレーションの短い債券でリスクを抑え、金利低下局面では長い債券で値上がり益を狙う、という投資戦略に活かせます。
過去の低金利時代に発行された債券は買える?
債券は発行後も「既発債(セカンダリーマーケット)」として市場で取引されています。証券会社を通じて購入できるケースも多いです。
ただし注意点があります。
- 金利が現在より高い環境では、低金利時代の債券は利息が少ないため「額面より安い価格」でしか取引されません。
- 逆に今のように金利が高い時期に発行された債券は、将来金利が下がれば価値が上がる可能性があります。
つまり「いつ発行されたか」よりも「現在の金利水準との比較」で価格が決まる、という点を押さえておく必要があります。
金利上昇が株価に与える主な影響
① 企業の資金調達コストが上がる
金利が上がると、企業は銀行借入や社債発行のコストが高くなります。
→ 設備投資や成長投資にブレーキがかかり、将来の利益成長が鈍化する懸念から株価が下がりやすい。
② 消費や投資が冷え込む
住宅ローンやクレジット金利も上がるので、消費者が支出を控えがちになります。
→ 企業の売上も伸びにくくなり、株価の下押し要因に。
③ 債券の魅力が高まる
金利上昇で債券利回りが上がると、投資家にとって「株より安全で利回りのある債券」が魅力的になります。
→ 資金が株式市場から債券市場へシフトして株価は下がりやすい。
ただし例外もある
- 景気が強いときの金利上昇
中央銀行が利上げする背景には「景気が好調でインフレ圧力がある」場合も多いです。この場合は、企業業績が良いので株価がすぐに下がるとは限りません。 - セクターごとの違い
銀行や保険などの金融株は、金利が上がると利ざや拡大でむしろ利益が増えることがあります。逆に不動産株は借入コスト増で弱くなりやすいなど、業種ごとに影響は異なります。
まとめ
- 金利が上がると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がる
- デュレーションは金利変動リスクを測る重要な指標
- 過去の債券も市場で購入可能だが、価格は金利環境に応じて調整される
- 債券は「安定的な利息収入」と「価格変動による値上がり益」の両面がある投資対象です。金利と債券の関係を理解することで、より賢く投資判断ができるようになるでしょう。
- 一般的に「金利上昇 → 株価下落」の傾向はある
- ただし景気状況や業種によってはプラスに働くこともある
- 投資家は「なぜ金利が上がっているのか?」をセットで考えることが重要

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